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2016年

第28回青年フェスタでの諏訪原健さんの講演要旨

第28回 青年フェスタ

 2月18・19日、第28回青年フェスタを開催し、500人が参加しました。実行委員の活躍で大いに学び、交流できました。感動と勇気をもらった記念講演の要旨を紹介します。

 

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民主主義は止まらない

 

「市民連合」呼びかけ人 諏訪原 健さん

 

 

 僕は奨学金の返済額が1600万円を超えています。「自由に生きるのはこんなに難しいのか」と思ったことが、声をあげる原体験の一つです。
 2013年末の秘密保護法成立当時、テレビアナウンサーが、「この国の民主主義は死んだ」って言いました。「本当か」と思ったわけです。2014年1月ごろ、後輩から「秘密保護法反対のデモがある」と言われて、ついて行ったことをきっかけに僕も「やってみよう」と考えました。

 

生活の中に政治を

 まずデモを政治に関わる身近な手段にしようと、新宿、渋谷、原宿など普段生活している場所でデモをして、生活の中に政治を放り込みました。
 SEALDsをつくったのは2015年5月3日。6月頃から毎週金曜日に国会前で抗議行動を始めましたが、根本にあったのは、政治文化をどうやって変えていくか。
 一つは国会前を政治に対して声をあげたい人が誰でも集まれるような象徴的な広場にすること。二つ目は、誰でも抗議行動に参加できる文化をつくる。三つ目は、国会の中と外をどうつなげるかを考え、野党議員を呼んで協力してもらう体制をつくることでした。

 

選挙で変えよう

 しかし、安保法制は成立。僕らは、「選挙で変えよう」と話し、野党共闘の実現に向けて市民連合を結成しました。なぜか。共闘によって選挙に勝ちやすくするとともに、争点を自分たちでつくり、投票率の向上を考えていました。昨年2月に5野党が共闘を確認。政党に政治を任せるだけじゃなくて、政党も私たちが変えていくことができた例でした。
 今、南スーダンでの自衛隊のPKO活動について全国で抗議の声があがっています。一人のおじさんが「抗議しなきゃ」と言い出したことがきっかけです。個人の呼びかけでの抗議が当たり前になっています。僕らが考えてきた、誰もが個人で政治に関わることができる状況を一つ体現していると思います。

 

個人が尊重される社会に

 私たちが考えないといけないのは、個人として生きることが尊重される社会をつくっていくこと。例えば、教育ならどんな家庭に生まれてもチャンスが与えられる状況をつくる。「この先の社会をどうつくりかえていくか」という時に、今苦しんでいる人たちの声が反映される形で考えていかないといけない。誰もが政治にものが言える状況をつくることは、そのためにも必要です。誰もが思ったことを言い、政治を変えることが当然になったときに、僕は個人が尊重される社会がつくられると思います。

第51回「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどいに250人

講演する古関彰一さん

講演する古関彰一さん

第51回「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどいに250人

 【 集会宣言ダウンロード 


 第51回「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどいが2月11日に大阪府教育会館にて開催され、250人が参加した。

 

 つどいは、吉矢千鶴さんと多田安希子さんによるヴァイオリンとピアノの演奏ではじまった。文化行事の後、和光学園理事長で憲法制定史が専門の古関彰一さんが、「日本国憲法誕生史・再論~九条に関わる新事実から~」と題して、日本国憲法がどのような議論と国際状況の中で生まれたのか講演した。

 

 古関さんは、九条(戦争放棄、戦力不保持)についてGHQの当初の案が「戦争の廃止」を掲げていたことを紹介し、「GHQから見ると、日本は、戦争放棄条約(パリ不戦条約)の下で満州事変、日華事変を起こしたので、『戦争放棄』ではなく、さらに強い『戦争の廃止』が必要だと考えていた」と話した。さらに議会での審議で、鈴木義男(社会党)が提案して「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という平和主義の文言が加わったことを紹介。「結果的に今日まで憲法は変わらずにある。私たちの戦後を考え直さないといけない」と締めくくった。

吉矢千鶴さん(ヴァイオリン)と多田安希子さん(ピアノ)による演奏

吉矢千鶴さん(ヴァイオリン)と多田安希子さん(ピアノ)による演奏

 

 意見発表では、沖縄の米軍基地問題に対する青年のとりくみについて青年が、カジノ・万博問題と維新政治について阪南大学教授の桜田照雄さんが報告を行った。

 

 最後に、憲法施行七〇年の節目を迎えたことに触れ、「平和と民主主義に基礎づけられた豊かな思想・文化と、過去と現在を真摯に見つめる歴史認識の創造を、それぞれの地域・職場・学園で呼びかけ、実践していく」という集会宣言を採択した。

第28回青年フェスタの記念講演は諏訪原健さん(市民連合呼びかけ人)

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日時:2/18(土) 13時 ~ 2/19(日)12時40分

会場:大江戸温泉物語グループ 箕面観光ホテル

日帰り参加費(2日間共通):2000円(学生無料)

宿泊(2食付):16000円

※教職員以外の参加も可能です。お気軽にお問い合わせください。

 TEL: 06-6768-2330 

 

【2/18(土)】

◆記念講演

「民主主義は止まらない」

  諏訪原 健さん(元SEALDsメンバー、大学院生、市民連合呼びかけ人)

 

 1992年、鹿児島県鹿屋市生まれ。SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)メンバーとして安保関連法に反対して国会前で抗議活動を行った。「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)の呼びかけ人。現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科に在学中。

 

※ 記念講演については、奥田愛基さんの予定でしたがご本人の体調不良のため交代となりました。

 

 

◆レポート交流会: 青年センセイがレポート!!

予定: クラスづくり(小)、授業づくり(小)、保健室、中学校、特別支援教育、小・中・高の実践、臨時教職員 など

 

◆夕食交流会: 楽しい企画が盛りだくさん(^^)♪

 

【 2/19(日) 】

 

①臨時教職員Q&A

②学級経営・生活指導 

③演劇

④作文 講師:土佐いく子(和歌山大学 なにわ作文の会)

⑤絵本 講師:鈴木健司(読み聞かせボランティアサークル三丁目の鷹)

⑥たのしい算数

⑦理科を楽しもう 講師:玉井裕和(近畿大学)

⑧未来につなぐ平和教育

⑨苦手な人のための音楽

⑩楽しく取り組む工作活動 講師:安田ひとみ(元大阪市小学校)

⑪どうなん道徳?! 講師:山口隆(大阪教育文化センター)

⑫アイヌの踊り

⑬FBM(ファシリテーションボールメソッド)による実践紹介&体験 講師:河野健三(FBM研究会)

⑭特別支援 講師:千住真理子(“人間と性”教育研究協議会)、大教組障教部

 

第51回「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどい

20170211チラシ第51回「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどい

 

日時:2017年2月11日(土・休)午後1時30分開会(1時開場)

会場:大阪府教育会館たかつガーデン8階

   近鉄「大阪上本町」駅から徒歩3分/地下鉄「谷町九丁目」駅地下鉄 

参加費:500円(高校生以下無料)

主催:「建国記念の日」反対大阪連絡会議

 

 戦前、「紀元節」は、初代神武天皇即位の日とする天皇制国家の重要な祝祭日でした。戦後、「紀元節」の復活をねらう政府は、1966年に「 紀元節の日」であった2月11日を「建国記念の日」と制定しました。「建国記念の日」は国民主権を基本とする憲法の民主主義的原則に反し、歴史の真実を歪めるものです。

 

記念講演
 日本国憲法誕生史・再論~九条に関わる新事実から~

 古関 彰一さん(和光学園理事長・憲政史)

 「日本国憲法は GHQ の押し付け」とも言われるが実際はどうだったのか。「戦争放棄」と沖縄の本土からの分離にはどのような関係があったのか。いつから日本は「平和国家」と言われてきたのか。戦後日本の出発点である日本国憲法の制定過程は、私たちの未来に何を投げかけているか-以上についてお話しいただきます。

 

文化行事

吉矢 千鶴さん(ヴァイオリン)

多田 安希子さん(ピアノ)

 

曲目

・ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番「春」より
・ショスタコーヴィチ 4つのプレリュードより

「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどいプレ企画のご案内

「建国記念の日」不承認2.11大阪府民のつどいプレ企画のご案内

チラシ

 

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 戦後「紀元節」の復活を狙う政府は、1966年に「紀元節の日」であった2月11日を「建国記念の日」と制定しました。「建国記念の日」は国民主権を基本とする憲法の民主主義的原則に反し、歴史の真実を歪めるものです。

 大教組が加わる「建国記念の日」反対大阪連絡会議は、「建国記念の日」は認められないと1967年以来毎年集会を開き、府民としての意思を示してきました。また、平和と民主主義に関わる時々の課題を取り上げて、その解決のために私たちには何ができるのかを考えてきました。

 

 戦後70年を越えた現在、安保法制や改憲論議を通じ、改めて「日本」の社会・国家をどのように形作っていくのかが問われています。幕末~明治20年代は、日本社会がこうした問いに直面した最初の時期であり、立憲政体構想にとどまらず様々な政治構想が生まれました。今回のは、高島千代氏にご報告いただく形で、こうした政治構想・憲法構想のうち、いまだ明治憲法の「改良」が考えられていた初期議会期における旧民権派の立憲政体構想に注目します。

 具体的には、淡路の旧自由党系政治家・島田邦二郎による「立憲政体改革之急務」を取り上げ、それまでの憲法構想や運動との関わり、その現代的な意義について論じていただきます。

 


1. 日時 2016年12月17日(土)午後1時30開会(2時30分開場)
2. 場所 クレオ大阪東 研修室(JR「京橋」駅南口)
3. 講演「初期議会期の政治構想-島田邦二郎『立憲政体改革之急務』を中心に」
      高島 千代氏(関西学院大学教授、日本政治史)
4. 参加費 300円(大教組の組合員は無料)
5. 主催 大阪歴史科学協議会、大阪歴史学会、「建国記念の日」反対大阪連絡会議

中学校「チャレンジテスト」廃止・撤回を求める

 

 

 

子どもと教育・文化を守る大阪府民会議が中学校「チャレンジテスト」廃止・撤回を求めるチラシをつくり、署名を呼びかけています。

チャレンジテストビラ_表

チャレンジテストビラ_裏

【署名用紙】中学校「チャレンジテスト」廃止・撤回を求める署名

チャレンジテスト表面jpg版

チャレンジテスト裏面jpg版

 

 

 大阪府教育庁は、6月23日(木)に中学校「チャレンジテスト」を中学3年生に実施し、中学1・2年生は、今年に引き続き、来年1月に実施するとしています。またこの結果が、来春の高校入試の調査書評定に利用され、今後、中学1・2年生の内申点も高校入試に利用することが決定されています。これにより引き起こされる問題は以下の通りです。

 

(1)中学3年「チャレンジテスト」の結果で各中学校が格差づけされ、不公平な入試になります。

 中学3年生では、6月23日に実施されたテストの結果を用い、各中学校の調査書評定平均が決定され、評定平均の高い学校は高い評定が多く出るように、低い学校は低い評定が多く出るようになります。このように、通っている中学校によって頑張った生徒が高い評定をもらいにくくなるなど、高校入試がきわめて不公平になります。

 

 

(2)高校入試における内申書の意味がなくなります。

 

 中学1・2年生の調査書の評定は、たった1回のチャレンジテストで評定の変更が余儀なくされます。これでは、各学校が責任をもって日常の学習成果をもとにつけた絶対評価の評定が否定され、子ども・保護者に説明できなくなります。この間、府教委は生徒の学習意欲を高め、個人の努力が反映されるように、絶対評価の徹底を入試の調査書にも導入しましたが、府教委自らこれを全く否定することとなります。さらに、生徒の学校における日常の努力や定期テストの結果が反映されないのであれば、調査書の意味がなくなります。

 

 

(3)子どもたちを中学1年から高校入試にかりたて、中学校教育を大きくゆがめることになります。

 

 チャレンジテストによって実質上、調査書の評定が決定されることになれば、チャレンジテストが入試と同様の重みをもつことになり、入試が前倒しされることになります。人間形成の場である学校が、これでは、テスト中心の学校となり、子どもたちを中学1年から過度の競争に駆り立て、本来あるべき中学校教育の姿が大きくゆがめられます。
私たちは、学校教育を大きく歪め、子どもたちを過度な競争に駆り立てる「チャレンジテスト」に反対です。貴委員会がこの署名の趣旨を重く受け止め、チャレンジテストを廃止・撤回することを強く要請します。

事務職員部 当面の日程7~10月

2016年
  7月31日~8月1日 全国事務研 蒲郡
  8月22日  夏期学校選択講座  たかつガーデン
  9月13日  第1回委員会    たかつガーデン
  10月15日  近畿ブロック事務研 分科会打ち合わせ たかつガーデン
  10月28~29日 近畿ブロック事務研究集会  奈良

事務職員部報 2016.7.25

事務職員部報
2016.7.25 No.3
部報原稿2016-3HP

<内容>
・単組・ブロックから積極的に事務職員部運動をすすめよう!

・公立学校共済組合に申し入れ!!「標準報酬月額の定時決定及び保険者算定について」

教育のつどい大阪2016レポート募集開始!

教育のつどい大阪2016レポート募集開始!

 

教育のつどい大阪2016は、阪南地域で以下の日程で開催されます。

   ・全体会 10月15日(土)13時30分~ 貝塚市
   ・教科別分科会 11月5日(土)9時30分~ 泉佐野市
   ・問題別分科会 11月27日(日)9時30分~ 岸和田市

 

​あなたの日々の実践レポートをお寄せください。締め切りは9月19日です。

レポート提出はこちらから→ http://daikyoso.wix.com/kyoikunotsudoi

 

 

 

<教科別分科会の紹介> 

 

①国語教育

 たしかで豊かな認識力と表現力を一人ひとりの子どもに育てる国語教育をどのようにすすめていくのか、交流したいと思います。子どもの事実を大切に、悩みや疑問を出し合い、学び合いましょう。

 なかでも、文学を文学として読むことの意義をふまえて、教材研究のあり方、様々な指導方法等について話しあっていきたいと思います。説明文の指導についても交流しあっていきましょう。また、書くことの意味、読みあうことの意味をおさえ、子ども一人ひとりの課題や思いをどう受けとめ、どのように書く力をのばしていくのか、交流したいと思います。さらに、学習指導要領の問題点を明らかにしながら、各学年教科書の内容についても検討していきたいと思います。国語科の本質にもとづき、子どもたちの基礎・基本の学ぶ力を育てる国語科教育のあり方を考えあっていきましょう。多くの先生方、とくに若い先生方の積極的な参加を呼びかけます。

 

②外国語教育

 すべての子どもたちに外国語を学ぶ喜びと平和な未来を開く力を!このテーマにもとづき、「何を」教えるのかを明らかにし、「知りたい」「わかりたい」という子どもたちの願いにこたえる豊かな授業の創造をめざして、次の様なことを話しあい、交流します。
 ①学習指導要領や教科書の批判・検討。よりよい教科書・教材とは。②なぜ、何のために外国語を教え、学ぶのか。③外国語学習を通して、異文化を理解し平和で豊かな心をどう育てるのか。④自己表現活動など生徒と創る「楽しくわかる」授業とは。⑤映画や歌などを活用した授業とは。⑥小学校英語のあり方と実践を交流。

 

③社会科教育

 科学と事実に基づき、地域の主人公としての子ども、主権者を育てる社会科教育をすすめます。地域の実態と子どもの発達段階をふまえた実践を研究・討議し、社会科の学力とは何かをあきらかにします。

 ①学習指導要領の問題点を明らかにし、科学的な認識を育てる授業について交流を深めます。②平和と民主主義、人権尊重を基調とした憲法学習を交流します。③子どもが暮らす地域の実態、歴史の掘り起こしをもとにした実践を交流します。④わかる授業、楽しい授業や教材を交流します。⑤若い先生方に、明日からの授業づくりの参考になるような実践、教材の交流をします。⑥小学校・中学校・高校で使われている教科書の検討を行います。⑦歴史歪曲の動きに対して批判と検討をすすめます。⑧日本国憲法の平和主義、原発の問題、主権者教育をどうすすめたのかを交流します。⑨公立高校入試問題の批判と分析をすすめます。

 

④算数・数学教育

 わかってできる楽しい授業をしたい。教員なら、誰でもそんな願いをもっているのではないでしょうか。しかし、現実には、朝の会からの計算練習、時間に追われながらすすめる授業と、難しい条件が山積みです。そのような状況の中でも、多くの学校には優れた授業実践がたくさんあります。困難な状況のなかで、学ぶことのたのしさを実感できる授業をどのように創りだせばよいのか? 競争主義による「全国学力テスト」・「チャレンジテスト」に振り回されず、本当の学力を育むために、参加者の皆さんの知恵を出し合い、実践交流しましょう。

 

⑤理科教育

 非系統的で画一的な学習指導要領に基づいた教科書、狭い学力観に基づく学力テスト至上主義、さまざまな問題が、子どもたちから理科を学ぶ楽しさ、自然を深く理解する喜びから遠ざけているという現状があります。

 このような中で、学校では若い先生方を中心に「自然や科学について深く学び授業にとりいれたい」「発達段階に応じた授業を組み立てたい」といった声が強くなっています。
 授業プランや授業の実践報告、観察の工夫や実験の紹介など交流する中で「すべての子どもに豊かな自然認識を育てる」という理科教育の原則に立ち戻った授業のあり方を考えましょう。物理、化学、生物、地学の各分野を総合的に議論する中で、小学校、中学校、高校の段階に応じてどのような認識を育てるのかということも考えていきましょう。
 日々の教育実践の悩みや工夫をもちより、子どもたちの姿が見える分科会をつくります。明日からの教育実践に向かっていく元気がでる分科会を目指しましょう。

 

⑥美術教育

 美術教育は、人格形成にとって大切な基礎基本の教科です。大阪市立デザイン教育研究所の募集停止の問題にも見られるように、大阪での「芸術・文化の切りすて」には看過できない問題があります。生きるよろこびと豊かな人間性を育む表現とは何かを学び合いましょう。本当の美しさ・真実が分かる感性を育てる美術教育をめざしましょう。

①生活実感を大切にしたとりくみ=実態や発達を考え、生活実感に根ざした表現で豊かな感性を育む指導について考える。
②手仕事を大切にしたとりくみ=発達保障の観点から手仕事の役割を見直し、主体的につくる子どもたちを育てる指導について。
③鑑賞=美術作品との対話や指導について。

 

⑦音楽教育

 「芸術・文化の切りすて」、「学力偏重」の教育政策が、音楽教育にも多大な悪影響を及ぼしています。音楽教育に携わる者として心とからだがひとつになってこそ、発揮される「音楽の力」を子どもたちと味わっていけたらいいなと考えています。多種多様な文化、表現活動があふれているなか、子どもたちとつくりあげていく音楽活動はしっかりとした教材選択と教材分析のうえで、学習活動に織り込んで行けたらと思います。この分科会では、日頃の子どもたちの様子を交流しながら、自分たちの実践を語り合い、音楽の楽しさを実際に体感しながら音楽の世界を深めて行けたらと考えています。

 

⑧技術・職業教育

 生徒のやる気を引き出す教材、生徒が保護者に見せたくなる教材を工夫しましょう。

 日々の教育実践での悩みや工夫を持ち寄り明日からの授業づくりの参考になるような実践、教材の工夫を交流します。
(研究課題)
①生活に必要な道具の正しい使い方
②全ての教科の学びの中で生物育成を楽しむ
③エネルギー変換と原発
④専門実習で理解を深めるための工夫
⑤職業教育と地域・社会とのつながりについて
⑥職業高校改変後の各校のとりくみの現状・実践の交流
⑦今後の職業教育のあり方

 

⑨家庭科教育

 小・中・高で学ぶ家庭科の内容の交流や実践を持ちより、魅力あふれる教材や実践の交流をしましょう。

①地域・家庭との連携を深めながら、科学的認識や基本的技能を育てる教育内容を考え合いましょう。
②日本の農業生産と関連づけた食料自給・TPPについて学び合いましょう。大震災と原発事故と関わる食・住の安全についても考え合いたいと思います。
③主体的な学びへとつながる教材の研究と家庭科教育の意義を深め、実践交流しましょう。

 

⑩体育・健康・食教育

 子どもたちをとりまく教育、自然環境、親の多忙化にともない、ますます生きづらい現状があります。後を絶たないいじめ、不登校、児童虐待が後を絶たずに、近年青少年の命を軽視した犯罪・事件も増え続けています。

 子どもたちの心と身体のゆがみの根本が何であるのかを深く追究すべく、その根底にある現代の政治、社会のあり方の責任も問われます。又原発、TPPによる食糧問題の課題も深刻化しています。子どもたちが安心・安全な生活が保障され、又教育現場で活躍できるように、日々の私たちの実践を体育・保健の分野から報告し、参加者で交流を深めたいと思います。子どもたちが自らの健やかな成長、健全な心身を養うために必要な知識が身につけられる様な手だてを話し合いたいと思います。

 

⑪生活指導・自主的活動

 大人も子どもも生きにくい時代を生きることを強いられています。

 子どもたちは自分自身を守る知恵も経験も十分もっていません。私たち大人が、子どもたちを守り子どもたちに豊かな未来を引き継ぐ重い責任を負っています。学校現場の子どもの「荒れ」「いじめ」「学校崩壊」が、子ども・教師・保護者の深刻な悩みと課題になっています。現状をどうとらえ、そのなかから解決の方向を見いだし、具体的に解決していくためには今どんな取り組みや工夫が必要で、有効なのか話し合い考える場にしたいと思います。次のことを中心に議論を深めたいと思います。私たちの日々の教育実践のなかで、学級・学年・学校の集団づくりを、どうすすめていくか。また、集団づくりの基礎として子どもたちの心をどう理解し、どのように信頼関係を築いていくか。互いに苦労話、失敗例、成功例の経験を交流し、解決の方向を探り、しっかりとした確信に結びつくような議論にしたいと思います。

 

 

<問題別分科会の紹介>

 

⑫発達・評価・学力問題

 報告者のレポートをもとに、多くの教師や保護者に関心が高い「学力づくり」「授業づくり」「学力低下」「学級困難」「課題をもつ子への指導」の問題などを交流します。また、習熟度別クラスの問題点、「全国一斉学力テスト」「アクティブ・ラーニング」の問題点についても交流したいと思います。明日からすぐに役立つ具体的な報告もあります。さらに、その具体的な実践の根底にある、子どもの発達のみちすじや子どものとらえ方も学び合いたいと思っています。子どもを取り巻く状況がますます悪くなるなかで、私たちの実践はいつもうまくいくとは限りません。むしろ、うまくいかないほうがふつうなのかもしれません。そのような実践の中にこそ、今日の子どもと教育の課題があると考えています。多忙な日々の中で、実践をまとめてくださった報告者のみなさんや貴重な休日に分科会会場に足を運んでくださる参加者のみなさんが、レポートして良かった、参加して良かったと感じてもらえるような温かい分科会にしたいと思っています。

 

⑬障害児教育

 大阪市立障害児学校の府立移管が強行されました。「教育条件は後退させない」とする議会・行政の前提はすでに崩れた状態にあります。障害児学校の過密・課題の状況も一向に改善されていません。通学区域の変更等、小手先の対応により矛盾が噴出しています。障害児学級の在籍者数も増えていますが、教職員数は不十分です。現場では、数値目標の押し付け、管理強化、多忙化が進められ、子どもの話をする時間さえない状況になっています。今こそ、「権利としての障害児教育」の確立に向けて運動を進めてきたことに確信を持ち、子どもたちや父母の願いを大切にした、全ての障害児や援助を求めている子どもたちの発達を保障する実践や運動について語り合いましょう。また、通常の学校での通常学級の教育条件や高等教育での課題等、真のインクルーシブ教育や合理的配慮のあり方についても論議しましょう。

 

⑭幼年期の教育

①子どもの家庭や地域でのくらし、保育所・幼稚園・学校での実態や支援を要する子どもたちの実態を出しあい、子どもをとりまく問題点を明らかにします。

②2015年度からスタートした「子ども・子育て支援新制度」の実情など出しあい交流するなかで問題点を明らかにしてゆきましょう。
③小学校の基礎学力問題、保育所・幼稚園の統廃合・民営化・預かり保育・延長保育などの問題点を話しあい、父母・地域の人々と手を結び改善するための方向を見出していきましょう。
④保育所・幼稚園・子ども園・小学校の接続問題について学びあい、実践的課題を出しながら豊かな連携のあり方をさぐります。

 

⑮思春期・青年期の進路

 思春期・青年期は、様々な課題を抱え、紆余曲折を繰り返しながらも、将来の進路を見据えて成長していく時期です。悩みつつ成長する生徒・青年のリアルな姿を持ち寄りましょう。そして、それを支え励ます実践を気軽に出しあい、深めあいましょう。

 中学校チャレンジテストの実施など、入試を切り口に、いっそう競争をあおる動きが強まっています。このような「教育改革」の実態やその影響を話しあいましょう。未来へ向けて成長しようとする生徒・青年に寄り添い、その進路保障に関わる様々な実践・とりくみを持ちより、深めあいたいと思います。

 

⑰-A人権と教育

 児童・生徒の基本的人権を守り、育てる教育実践や教育運動を交流したいと思います。

 私たちがすすめる人権の教育は、教育の自由、研修の自由が保障されたうえで、子どもたちに確かな学力と生きる希望を育む認識を育てるものです。
 府下では大阪府人権教育研究協議会・市町人研と行政が一体となって、同和問題に関する認識のゆがみをつくりだしています。
 憲法と子どもの権利条約が生きる教育をすすめましょう。各職場でおこなわれている多様な教育実践を持ち寄り、交流しましょう。

 

⑰-B男女平等の教育

 「格差と貧困」が広がっている大阪で、子どもと父母・保護者の生活破壊は深刻です。教育現場は、着々と物言わぬ教師づくりがすすみ、教師間や父母との共同の取り組みが、困難になってきています。もう一度、原点に立ち返り、共同の子育ての取り組みを継承しなければなりません。

 子ども達や父母の願いや要求をもとに、進路・労働・家庭・性に関する課題を出し合い交流しましょう。子どもも大人も人間らしく豊かに生き、成長できる社会をつくるために学びあいましょう。

 

⑱平和と国際連帯の教育

 小・中学校時代の東日本大震災、原発事故の学習が今の行動につながっているとT-nsSOWL、SADL、SEALDsの若者が語っています。子どもたちの社会認識、時代認識は確かです。平和と国際連帯の教育を目指してきた私たちは、いま励まされています。

①安保法制をめぐり全世代が行動しています。戦争体験者からの「聞き取り」、地域にある戦争を伝えるものから学ぶ大切さを交流します。
②被害・加害・反戦抵抗などの側面から過去の戦争を学習します。
③戦争美化、改憲誘導の教科書採択に対しての、平和と国際連帯の教育の課題について交流します。
④原発事故、核兵器、米軍基地、憲法、平和と安全の課題を読み解きます。
⑤東北アジアの平和や国際連帯へのまなざしを育てます。
 若い教職員が瑞々しい感覚で憲法、平和学習を進めています。あなたの報告を待っています。一緒に語り合い、学びあいましょう。

 

⑲-1民主的学校づくり

 大阪では、安倍「教育再生」に加え、維新政治による「教育こわし」がすすみ、子どもたちの荒れや教育困難が深刻化しています。

 学校は、子どもたちの「ゆっくり先生に話を聞いてほしい」「授業を楽しくしてほしい」という気持ちや、「何でも相談できる学校にしてほしい」という保護者の願いや、「子どもたちに学力をつけたい」「子どもたちが喜ぶ顔が見たい」という教職員の願いが生かされることが必要なのではないでしょうか?子どもたちの意見が生かされ、保護者の願いがかない、教職員の思いが生かされる学校づくりはどうすれば実現できるのか、それぞれの現場での経験や実態を交流しながら、参加と共同の学校づくりについて話し合いましょう。

 

⑲-2父母・地域住民との共同

 日本を戦争をする国に変えてしまおうと暴走する安倍内閣と維新政治による「教育こわし」のもと、子どもたちの生き辛さは増しています。しかし、情勢が困難になればなるほど、子どもをまっとうに育てたいという切実さは、多くの父母・地域住民の中に際だったものになってきているのではないでしょうか。

 本分科会では、様々な立場からそういう声を出しあい、多くの経験を交流し、子育てについて共に考え、学びあう場にしたいと思います。次の様な観点で分科会を深めていきましょう。
①子ども・生徒・保護者の願いを率直に出し合う場づくりについて話し合いましょう。
②「こんな学校や教育を望みます」の声を出し合い、どうつくっていくのかを色々な立場から共に考え話し合いましょう。
③「いのち・くらし・教育」を守る運動の経験を交流し、話し合いましょう。

 

⑳教育条件

 長期に続く不況のもとで、大阪の子どもたちは、極めて貧困な教育条件の下におかれています。そして貧困と格差が広がっています。子どもたちの就学(修学)保障をすすめる運動、自校方式の中学校給食を実現する運動などを学校で働く教職員だけではなく、教育行政や保護者・地域住民のみんなが協力しあって希望にあふれる学校をつくるとりくみが大切です。すべての子どもたちが、安心して学習することができる教育条件の整備がもとめられます。それらの実現のためには、財政学習・財政分析へのアプローチは必要かつ不可欠な課題です。

 

21環境・公害問題と教育

 今年4月に発生した熊本地震は、あらためて災害と隣り合わせにある我が国の実情を示しました。他の災害も含め、予知や減災対策への科学的知見の進歩、地域や家庭の防災対策の充実が求められます。一方で、原発再稼働の動きやリニア新幹線計画に象徴される大型開発を進める動きがあります。主権者として正しい科学的知見をもとに、真実を求め未来へつながる社会を展望する教育が求められます。また、「戦争は最大の環境破壊」である観点も教育に求められます。

 私たちの分科会では、持続可能な社会建設への道すじを明らかにすることを研究目標のひとつにすえて、身近な環境問題、公害問題を市民グループの実践や教育実践、教材分析などを報告・交流してきました。昨年度は淀川左岸線公示の問題点、ソラダスを学校で実施するとりくみの報告があり、ミニ講演で地球温暖化について学習し、議論しました。本年度もレポート報告、フリートーク、ミニ講演を行いたいと思います。

 

22文化創造と教育

 安倍政権や維新政治につながる思想・文化・歴史認識の下で、「厳しい競争的環境におく。強い力で規範を守らせる」といった風潮が子どもたちを追い詰めています。一方、こういった風潮に反対する力も強まっています。 民主主義を求める文化創造を再認識し、より発信力を高める動きも起きています。まさに双方がせめぎ合っている状況です。

 これまで、この分科会では、①地域の文化や歴史、平和の大切さを伝え続けることは人と人とのつながりをつくり、広げていく。②人間への信頼を豊かに育む文化は、広く人々の共感の和も広げる。子どもたちはもちろん、大人たちも文化を吸収して成長していく。③学校・地域における図書館の存在意義は大きい。情報発信基地であるとともに文化創造への土壌でもある。④個々の実践を互いに励ましあい、響きあう学校づくり、平和で民主的な社会の形成へと発展させていく―を確認してきました。自分の思いを形に表し、社会に発信することこそ文化創造の出発点です。

 

23教育課程・教科書

 昨年「戦争法」を強行採決した安倍政権は、「戦争する人づくり」を進めるとともに、「グローバル化」や「情報化」に対応できる人材育成を一層露骨に行おうとしています。また、小中一貫教育や一貫校づくりを押しつける中で、教育課程の複線化など、教育の形が大きく変えられようとしています。

 こうした中、この分科会の意義はますます重要となっています。①各地域・学校でどのような状況にあるか、子どもの現実を交えた実態をつかむことです。②それを前向きに変えていく可能性を見つけ切り開いていく、またその糸口になるとりくみを交流しあうことです。特に、これからの教育・学校づくりを担う若い教職員や、父母・地域の方からのレポートが出されることを期待します。

 

24生活科・総合学習

 本分科会は、小学校低学年「生活科」と、小・中・高校の「総合学習」について考える分科会です。昨年から生活科新教科書が使用されていますが、現場の声はどうでしょう。ますます内容が多様かつ不明瞭になり、教科としての意味がわからなくなっているのではないでしょうか。さらなる道徳化や他教科との連携強化で、3年以降の理科・社会の内容との段差も大きく、気になるところです。

 私たちは、生活科を「自然・社会・ヒト」を学ぶ科学的認識の土台作りの教科として位置づけています。また、総合学習は、教科学習とも連動し、「いのち・くらし・地域・環境」等を児童・生徒の発達段階に応じて豊かに学び合う場にしていきたいと考えています。
 少しのことでキレたりなど課題を抱える子どもが増えてきました。そんな「困っている子ども」も含み、目を輝かせて取り組める価値ある学びについて一緒に考えましょう。又、指導要領改訂の中身についても検討しましょう。

 

25登校拒否・不登校

 2014年度の登校拒否・不登校の児童・生徒数は、2年連続の増加となりました。大阪府は全国6位、高校生の不登校と中退は連続全国1位です。

 登校拒否・不登校は、国による競争と管理の教育の押しつけがもたらしたものです。大阪の「維新政治」の教育は、国の施策を先取りしたものといえます。
 この分科会は、教職員や相談員と親たちがともに登校拒否・不登校について考える場となっています。お互いの悩みや経験・取り組みを、レポートをもとに交流し学び合いましょう。
 国会では教育機会確保法(不登校対策法)が審議されています。また、「不登校児童生徒への支援に関する最終報告案」が発表されました。どちらもこれまでの不登校対策への反省はなく、再登校推進や家庭への指導など子どもや家族を追い詰めるものになっています。これらについても学んでいきましょう。

教育を大きくゆがめるチャレンジテストの廃止・撤回を

20160410大阪教育

許さない!
批判と怒りが府内全域から

教育を大きくゆがめるチャレンジテストの廃止・撤回を

 

 

 くるくると毎年変わる府の公立高校入試に対して、いま府内各地で、批判と怒りの声が大きく広がっています。とりわけ本格実施となった中学1・2年のチャレンジテスト(1月に実施)によって、各中学校が責任を持って行った生徒の成績評定が、無理矢理に変更を強制され、各学校長や地教委をはじめ、府内各地の中学校から大きな怒りの声が噴き出しています。

 

 

1 学校教育を否定する1・2年チャレンジテスト

たった1回のテストで評定が下がる

 

 「英語の評定が1学期に『5』、2学期に『5』であった生徒の評定が、チャレンジテストの点数が44点であったため2ランクも下げられて、内申書の学年評定が『3』に落とされた生徒」など、たった1回のテストで1年間の評定がひっくり返される事例が、府内各地で大量に生じています。
 ある市では、府教委に対する協議申し出が700件を超えたのをはじめ、各学校で1~2割、3割近くに及ぶ学校もあります。各学校の絶対評価では、まじめに頑張っている生徒に「1」などはつきませんが、無理矢理に「1」、「2」をつけられた生徒が続出しています(資料1)。

 

 

テスト至上主義が教育こわす

 

 日常の授業でいくら頑張っていても、チャレンジテストで点数をとらなければ高校入試にかかわる内申書の評定は下げられます。逆に、授業態度が悪く、授業エスケープや遅刻をくり返し、提出物や宿題をまったく出さず、定期テストも受けていない生徒であってもチャレンジテストで点数さえ取れば「5」や「4」がつけられます。
 これを生徒たちが知れば、学校を休んで塾でテスト対策をするなど、学校の授業軽視と「荒れ」が必ず広がります。
 いま大阪では、全国でも突出した深刻な「荒れ」と教育困難に直面していますが、これに油をそそぐものです。

 

 

全くの、相対評価に

 

 府教委はこの間、生徒の学習意欲を高めるため、個人の努力がそのまま反映されるとして絶対評価の徹底をすすめてきました。ある研修では、「ペーパーテストでの評価の割合は4割以内にし、残りの6割は授業態度や発表、提出物等で評価するように」とまで指導してきました。
 それが、たった1回のチャレンジテストで、全てひっくり返されるわけです。
 府教委は、内申書の評定を絶対評価に変更すると主張しながら、実際には「公平性を担保する」という口実をつけて、府全体の中学生を対象とした究極の相対評価を強行しているわけです。これは子どもや父母・府民を全くだまして、愚弄するものです。
 各学校の教育評価の趣旨を大切にして、内申書を絶対評価に変更するというのであれば、その趣旨を貫き、チャレンジテストは直ちに廃止すべきです。大阪以外にこのような大混乱を引き起こしている都道府県はどこにもありません。

 

 

資料1
チャレンジテストの点数で内申書の評定が決まる(中1・2年)
*府教委、H27年度「評定の範囲」より

 

●必ず評定が上がる
 ―「中2・国語」では
 83点以上「5」、71点以上「4」、56点以上「3」
●必ず評定が下がる
 ―「中1・英語」では
 50点以下「3」、27点以下「2」、11点以下「1」

 

 

2 内申書の評定は、各学校に委ねよ

 

 一人ひとりの子どもの教育に直接責任を負い、その成長と発達をしっかりと把握しているのは各学校の教職員です。そのため教育課程編成権や評価権は、すべて各学校に委ねられています。こうした各学校の評価権を侵害し、各学校の教育活動とは全く無縁の評定を押しつけ、各学校が責任を持ってつけた評定を無理矢理に変えさせる、法的根拠はどこにもありません。
 府教委は、合理的な理由があれば協議するとしていましたが、実際には変更を認める客観的な基準を定めておらず、協議の対象となったのはテストをまともに受けることができなかった場合だけで、ことごとくが門前払いにされています。テストに参加していなければ、各学校の評定が尊重されています。大教組は、府教委に対してチャレンジテストの廃止・撤回を求めるとともに、市町村教委には参加しないよう求めています。

 

 

3 中3チャレンジテストの中止・撤回を

 

 来年度の入試に向けて、6月には中3チャレンジテストが予定されています。中1・中2のチャレンジテストが生徒個々の内申書評定を決定する個人戦であるのに対して、中3では各学校の評定平均が決定される団体戦となります。6月のテストで、その後3月までの1年間の評定の範囲ワクが決定されます。さらに不当にもテスト教科以外の「4教科」までもがテスト結果により評定の範囲ワクが決定されます(資料2)。入試において内申書は大きな比重を占めます。教科の評定が「1」違うと、入試当日のテストの点数では10点の差(90点満点)がつきます〔標準のタイプⅢ〕。
 「この中学校の評定平均では希望の高校に入れない」、評定平均によって全中学校が格差づけされ、入試に「有利」・「不利」な中学校がつくられるなど、きわめて不公平な入試になります。

 

資料2
「中3チャレンジテスト」
まったく不公平な入試に
大変な序列化が

 

「有利」な中学校 (評定平均「3.7」の上位校)
―上限4.0で、10人に配分すると―
「5」 「5」 「5」 「4」 「4」 「4」 「4」 「4」 「3」 「2」

 

「不利」な中学校 (評定平均「2.2」の下位校)
―下限1.9で、10人に配分すると―
「4」 「3」 「2」 「2」 「2」「2」 「1」 「1」 「1」 「1」

 

 

4 中1からの内申書競争やめよ

 

 さらに重大なのは、来年度以降の入試から、1、2年の評定が内申書に加えられ、実質として中1から激しい高校受験競争が始まることです。
 内申書の脅しで子どもたちをテスト競争にかり立てる、入試の前倒しは断じて許されません。
 広島の中3生自殺問題では、内申書のあり方が問われましたが、今回の内申書改悪は「15の春」どころか「13の春」から子どもたちを追いつめるものであり、改悪の撤回を強く求めます。

 

 

違法なチャレンジテスト止めよ

 

 中学3年生チャレンジテストが、6月23日、府内全域に大きな批判が広がるなか強行実施されようとしています。今、府内の各中学校では1・2年チャレンジテストによって内申書評定が無理矢理に変えさせられ、生徒や父母から「なぜ、こんな評定になるのか?」と問われても、「府教委に強制されたから」と答えるしかなくなっています。この実態が、「違法」なテストであることを如実に示しています。さらに3年生で強行されると、入試制度そのものが極めて不公平なものに変質化されます。

 

 

高校入試がまったく不公平に!

最高裁判決に反する、違法なテスト

チャレンジテストは行政調査で、テストではない

 

 府教委の実施要項では、実施目的を「生徒の学力の状況をつかむことで、教育の成果と課題を明らかにし、今後の教育に生かす」としているように、チャレンジテストはあくまでも行政調査であり、テストではありません。教育課程編成権や教育評価権は各学校に委ねられており、府教委が生徒の成績に関わるテストを行うことはできず、できるのは行政調査に限られているからです。しかしこの3月に府教委は、現実にテスト結果で個々の生徒の評定を無理矢理に変えさせており、これはまさに教育基本法が禁じる「不当な支配」です。
 旭川学テ最高裁大法廷判決は、「教育活動としての試験の場合のように、個々の生徒に対する教育の一環としての成績評価のためにされる」のではない場合に限り、行政調査が合法的であると明記しており、府教委のチャレンジテストは明らかに違法な調査です。このため、府教委の高校入試調査書評定にかかわる「府内統一ルール」には、法的な拘束力はありません。

 

 

府教委のウソは許されない!

 

 府教委は、「調査書の評定は、授業、宿題、テストなど、中学校等における皆さんの頑張りをもとに中学校等が決定するものです。」と今年3月の生徒・保護者向け説明文書に明記していますが、事実は全く異なり、チャレンジテストの点数のみで評定が変えられ、決定されています。
 生徒たちが学校の勉強をおろそかにすることを恐れたのかもしれませんが、真理・真実を貫くべき教育の場にあって、このような恥ずべきウソは断じて許されません。

 

H28年度中学校長会「要望書」より

 

 

 

内申書評定は、各学校に委ねよ!(大阪府公立中学校長会)

 

1、(1)②「高校入学者選抜方法について、調査書に記載する評定については各中学校に委ねられたい。」

 

 

入試前からまったく不公平な内申書に

 

 中西正人元教育長は、教育基本条例案をめぐる府議会討論の中で「府内の小中学校を対象にした学力テストの学校別平均に最大40ポイントの差が出ている」と答弁しました。これを用いて、府教委が示す算出方法で各中学校の「評定平均」を算出(府の評定平均を「3・32」とし、3年生チャレンジテストの平均点を50点として)すると最上位校が「4・65」となり、最下位校は「1・92」となります。最上位校の内申書評定では4と5ばかりになる一方で、最下位校では、ほぼ1と2しかつけられなくなり入試前の段階で、きわめて不公平な状況が生み出されます。それもテスト教科以外の教科を含んで、1年間の評定範囲が、6月のテストで決められてしまいます。6月以後の努力は全く認められず、内申点を高めるためには転校するしかありません。こんなにも不公平で、中学校教育を無視した高校入試制度は全国どこにもありません。

2011年10月6日付 朝日

 府内市町村教育委員会には、違法で「不当な支配」となるチャレンジテストに「参加」しないよう求めます。
大阪府教育庁には、3年生チャレンジテストを中止・撤回し、1・2年生チャレンジテストを廃止・撤回するよう求めます。

 

<VOICE>20160520違法なチャレンジテスト止めよ

○子どもたちがかわいそう 岸和田市教組

 

 岸和田では、教育委員会と中学校長会へ申し入れを行いました。
 市教委からは、参加しないというわけにはいかないが、この制度について問題があると思っている。との返事でした。
 校長会では、制度自体にももちろん反対だが、実施時期についても、これでは行事やクラブ活動ができない。これ以上振り回されたくない、子どもたちがかわいそうだと、憤っていました。
 何としても中止するべきです。

 

 

○喜びとともに学んでほしい 保護者

 

 息子が小5の時、「空欄を無くして何か書こう」の指導が盛んで、子どもに嘘をつけと教えているように感じました。中学校では常にテストの結果が受験とセット。そのプレッシャーや不安の狭間で、子どもはボロボロになっていました。テストによる競争は、多くの親が「親自身が自分を見失う」という「親壊し」、子どもとの関係が悪くなる「親子壊し」以外のなにものでもありません。自分自身の能力を追い求め、喜びと共に学んでほしい。親が子どもに望むことです。

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