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2018年お知らせ民主教育活動紹介・見解

大阪市「学テ利用」やめよ 憲法違反は明らか

adachiku大阪市「学テ利用」やめよ
憲法違反は明らか

 

 8月2日の会見で吉村大阪市長は、全国学力・学習状況調査(以下全国学テ)の結果を、学校予算や教員評価にリンクさせることを公表しました。
 それを受け9月14日の総合教育会議では、学力テスト結果を用いた人事評価制度の策定が確認されています。子どもたちを踏み台にし、人事評価をおこなおうとする今回の提案は、教育を根底から破壊する施策です。

 

行政調査の目的外利用するな

 

 総合教育会議案では、全国学テ、府の「チャレンジテスト」、大阪市の独自テスト結果をもとに、2021年度から賃金に反映させると提案されました。どのテストも「行政調査」であり、「あくまで、児童・生徒の学力の程度がどのようなものであるかを調査する」ものです。そして、旭川学テ最高裁判決で、行政調査のとりあつかいについて、「許された目的の範囲において行わなければならず、それを違反する時は違法」とし、成績に反映することなどを禁止しています。
 ましてや「教員の賃金リンク」などは、あきらかに「行政調査」の目的の範囲を大きく逸脱した憲法違反です。このような施策をおしすすめたら、テスト至上主義、点数主義が横行し、学校の授業や教育活動は大きく壊されます。

 

提案はすでに破綻済みの施策

 

 これまでも日本のみならず、諸外国でも同様の施策がおこなわれました。しかし、どれもがすでに破綻しています。
 2007年には、東京都足立区で、区独自のテスト結果を学校予算の配分に利用する施策をおしすすめようとしました。その結果、事前のテスト対策が過熱化、試験当日は間違った解答を指さししたり、障害児学級在籍児童の答案用紙を採点から外したりするなどの不正行為が横行しました。またそれは、学校ぐるみのもので大きな問題となりました。
 この問題を引き起こした原因は、テストにより学校に競争を迫ったからです。いま大阪市がおしすすめようとしているのは、これらと同様の破綻済みの施策です。一刻も早く撤回を求めることが重要です。

 

まちがいなく広がる共同の輪

 

 この問題は教員の賃金や評価の問題だけでなく、子どもたちの学習権、各学校の教育課程編成権にまで影響し、学校教育を根底から大きく破壊するものです。
 9月の総合教育会議前日には、「学力テスト結果を学校予算、教員の賃金にリンクさせるな」と400もの団体が緊急要請を提出し、その後も多くの団体等から要請書が寄せられています。
 子どもたちを競争教育にかり立てるのではなく、子どもたち一人ひとりを大切にする教育を求めることは、教職員、父母・地域の共通した願いです。その願いと切り結んで、今回の問題を契機に、各地域での共同の運動をさらに大きく広げていきましょう。

(2018.10.5)