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2020年お知らせ活動紹介・見解

大阪教育1919号(2020年10月9日)

「大阪教育」1919号(2020年10月9日)1面

 

教育のつどい大阪20200001
大阪市ブロック開会

 

講演に共感の声!
「その子がその子らしいことを喜ぶ」学校へ

 

 9月19日、教育のつどい大阪2020の始まりを告げる全体会が大阪市立阿倍野区民センター大ホールでおこなわれました。新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しての集会には教職員と一般参加者合わせて200人近くの参加があり、寮美千子さんの講演に共感の声が寄せられました。

 

あいさつと基調報告「教育をどう問い直すか」

 実行委員長の奥野さん(「大阪の高校を守る会」会長)から、「再編整備計画の中で、当り前だった教育環境が悪化している」として、「子どもの教育環境の充実を最重要課題として、教育行政の在り方を再確認する良い機会とし、教職員、保護者、地域が共に考えていきたい」という挨拶がありました。
 基調報告では、これまでの「教育再生」、新自由主義による「競争教育」のゆがみが、新型コロナウイルス禍の中でいかに教育現場に影響を与えたのかを、日本の教育施策全体の流れの中でまとめる報告がなされました。
 少人数学級を求める声が高まる中、「目の前の子どもたちの姿から教育課程をつくる」という原則に立ち返った教育のためのつどいであるよう、積極的な参加を求めています。

 

記念講演

「子どもたちの心を開く詩の教室」
寮 美千子さん

 寮美千子さんは、作家として泉鏡花賞を受賞した後、奈良県に引っ越してこられました。偶然知った奈良少年刑務所を「レンガ建築が好き」という理由で訪ねられたことがきっかけで、統括官の細水玲子さんからお手伝いを頼まれたそうです。「虐待や貧困、発達課題を理解してもらえない中で、人間らしく扱われず、罪を犯すまでに心を閉ざしてしまったこの子たちに、詩や絵本を通じて情緒教育をしてほしい」と依頼されて、受刑少年に対して詩の教室を実施されました。

 初めは会話不可能に近い状態だった子どもたちが、少年10人、指導者5人の手厚く、「何を言っても良い、何をしても良い、評価もされない」という温かい環境の中で変化していく姿を語られました。

 

「人は、人の輪の中で育つ」~講演から~

「空が青いから白を選んだのです」

 この詩の作者は、違法薬物の後遺症や父親の暴力などの影響で、うまくしゃべれませんでした。しかし、一生懸命頑張って詩を読み、教室のみんなの拍手を受ける中で、「母親を7年前に亡くしたこと」「体の弱い母親が父親に暴力を振るわれていたこと」「母親が、亡くなる前に病院で『辛くなったら、空を見てね。私はそこにいるから』と言ってくれたこと」を語りました。
 母親の事を考え、母親の気持ちになって書かれた、たった一行の詩の向こうにある物語を聞き、教室の子どもたちが手を挙げて、優しい感想を言ってくれました。寮さんは、「こんなにも豊かな想像力を持ち、優しいことばをかける子どもたちが、なぜ重罪を犯すまで追い詰められてしまったのだろうか」と感じたそうです。

 

「心の鎧を脱げる場所」

 そんな中、いつもは声が出ない少年が手を挙げ、絞り出すように「僕はお母さんを知りません。でも、僕もこの詩を読んで空を見上げたら、お母さんに会えるような気がしてきました」と言い、泣き出してしまいました。
 教室の子はその子にも優しい声をかけました。「辛かったね。僕も小さいときにお母さんがいなくなったんだ」優しい声の中、その子は泣き続けました。おそらく生まれて初めて母のいない寂しさを、人前で語ることができたのでしょう。繰り返されていたその少年の自傷行為は、その出来事をきっかけに止まったそうです。
 自己表現を真剣に受け止めてくれる仲間がいることで彼らは癒され、心の扉を開きます。罪を犯した子どもたちが、心の鎧を脱ぎ、閉ざしていた扉を開いたとき、出てくるのは全て優しいことばでした。寮さんはこうした詩の教室の中で「人間の本質は優しさだ」と感じたそうです。
 最後に「過去を変えることはできません。でも、過去の意味を変えることは、誰にでもできます。そのことによって未来を変えていくことができるのだと思います。その子がその子らしいことを喜ぶ。学校がそういう愛を注いでもらえる場であればと思います」と、学校に対する思いを述べられて、講演は終わりました。感想では、多くの共感の声がよせられました。

 

参加者の感想より

・知らない世界、閉鎖された刑務所での子どもたちの姿をリアルに聞かせていただきました。心温まる勇気をいただけたお話でした。本来持っている人間のやさしさは人と人との関わり、自分と他人をつなげてくれる人との出会い、自分を受け止めてくれる場で自分が発見できるものなのだと、改めてわかりました。今の学校教育の中で求められる一番大切なことを聞かせてもらったと思います、ありがとうございました。

 

 教育のつどい大阪2020の教科別分科会、問題別分科会のレポートはwebでの提出も受け付けています。※〆切は11月9日です

 教育のつどい大阪2020レポート提出フォームはこちら https://daikyoso.wixsite.com/kyoikunotsudoi

 

めざせ

少人数学級!

教育全国署名、団体署名を集めよう

 

 「やっぱり少人数学級はいい」「一番の感染症対策は少人数学級」…この声をもっと大きく広げ、少人数学級の実現を、国や文科省、大阪府に迫っていきましょう。

 8月27日、大阪教育五団体は、大阪スタート集会を開催し、「教育全国署名」のとりくみを大きくすすめていくことを意思統一しました。大教組としても、「教育全国署名」とともに、府議会・府教委宛の「少人数学級の実現を求める団体署名」を提起しています。
 コロナ禍という非常事態のもとで、少人数学級の必要性や優位性が再確認され、その実現を求める世論は大きく高まっています。政府・文科省もその声に押されて、その実現を考えざるを得ない状況です。
 さらに、世論を高め広げるために、国会・府議会に向けた「教育全国署名」、府議会・府教委に向けた「少人数学級の実現を求める団体署名」を大きく集約し、少人数学級の実現、教育条件の改善を国や府に迫っていきましょう。

 

少人数学級の実現に向けたとりくみ

①「教育全国署名」「団体署名」を集める。
②PTAや市民団体などと懇談し、協力を求める。
③国会議員・府会議員に請願採択への協力をお願いする。

(2020.10.12)